つくば市/吾妻学園
ビオトープやプールヤゴなど
自然と親しみつつ環境学習
つくば市立吾妻学園は中心市街地にありながら、自然の豊かさが感じられる環境(かんきょう)だ。昨年度の全国学校・園庭ビオトープコンクールで日本生態系協会賞を受賞した吾妻小の「ホタル池」では、カワセミやカルガモなどの野鳥が飛来し、理科の自然観察にも活用されている。
地域本来の自然をビオトープに再現
ホタル池は1993(平成5)年に造られたが、水路に落ち葉や土がたまり、ボランティア団体「おやじの会」と児童が力を合わせ、一昨年から2年がかりで整備し直した。アメリカザリガニなどの外来生物は、取り出して別の水そうで飼っている。
池に引いている井戸水は鉄分が多く、アオミドロが増えやすいのがなやみ。子どもたちが毎月パックテストで水質検査し、こまめにそうじする、水草を増やすなどの対策を立てている。
ホタル池は三つのゾーンに分かれ、校庭に近い方が「メダカゾーン」。水が浅いので日光がよく届いて温かく、メダカが群れをつくって泳いでいる。中央の「ふれあいゾーン」はフナやドジョウなどが中心。いずれも地元の川にいる在来種の魚たちで、植物では霞ケ浦から移植したアサザもしげっている。
羽化期に向けてホタルを育成中
ホタル池の校舎寄り、ネットをかけた場所が「ホタルゾーン」。これからゲンジボタルの幼虫を放す予定だ。幼虫は5年生が中心になって、理科室のトレーで育てている。市内の川で取った巻き貝のカワニナをあたえ、冬をこして体長1㌢くらいに成長してきた。夜には、体の表面に光る点がうかぶのを見られるそうだ。
ホタル池ではいま、水辺に立てかけたコンクリート板にシャワーを当ててコケを生えさせ、池に放した幼虫が陸に上がってさなぎになれる環境を整えている。今後は観察場所を整備して、夏休みごろには飛ぶ様子を地域の人にも見せたいと考えている。
トンボのヤゴたちにプールを全面開放
水泳の授業がある6・7月以外は、吾妻小のプールはトンボたちに全面開放されている。プールに来たトンボが止まって卵を生んだり、かえったヤゴがかくれられるよう、子どもたちが工夫して作った「ヤゴの家」が、たくさんうかんでいる。
「本校ではSDGsを学ぶ中で、環境や防災などについて調べて発表するだけでなく、実際にできることはないかと、ものづくりにもさまざまに取り組んでいる」と、校長。
ホタル池でも、児童がマイクロビットを使って水温や気温を調べるシステムを組んだり、国立環境研究所との共同研究で、野生生物の無人撮影(さつえい)などにいどんでいるそうだ。