つくば市/春日学園義務教育学校

学年と教科をこえた対話によりともに考えを深める「コラボ学習」

 つくば市立春日学園義務教育学校では、対話から考えを深め問いを見出し、自ら答えを見つけ出す探究的な学びを重視している。その一つとして、1年生から9年生までが同じ校舎で学び、9年間を通した学びの連続性が保ちやすい義務教育学校の環境(かんきょう)を生かし、学年や教科をこえて子どもたちがともに考える「コラボ学習」に取り組んでいる。

よごれがなぜ落ちる理科の視点から学ぶ

 5年生の家庭科では、よごれがどうしたらよく落ちるかを実験し、その仕組みを9年生が理科の視点から説明した。実験では、油よごれには重曹(じゅうそう)水、石けんかすには酢(す)を使うと一番きれいに落ちた。

 なぜよごれが落ちるかについて、5年生は酸性やアルカリ性をまだ学んでいないため、9年生は磁石のプラスとマイナスなどに例えて、「同じ性質のもの同士は反発するが、逆の性質のものは引き合い、仲良くくっついて落ちるんだよ」と伝えた。これを聞いて5年生は、理科には日常生活に使える大事な部分がたくさんあるんだなと実感し、実際のそうじにも応用していこうと意欲を高めることができた。

上級生の話を聞いてメモのとり方を学ぶ

 国語の交流では7年生が自己紹介(しょうかい)し、それを3年生はメモにとる練習をした。メモのとり方では、聞いたことの要点をつかんで箇条(かじょう)書きにすれば、後で見返したときも分かりやすいことが実感できた。

 7年生は、言ったことが意図したこととちがう伝わり方をすることもあるという、伝えることの難しさを感じた。「こう言えばもっとよく伝えられた」などとふり返り、スピーチの改善につなげた。また、3年生といっしょに質問する活動を通して、相手のことをより深く知るために、どのような質問をしたらよいかをじっくりと考えることができた。

上手に英語を話す8年生があこがれに

 英語・外国語では8年生が職場体験や学校生活についてプレゼンテーションを英語で行い、6年生も英語で質問や感想を述べた。8年生は、6年生の反応を見ながら表現の仕方を変えるなど、相手に応じてどうかみくだいて伝えるかという勉強になった。6年生は、8年生が上手に英語を話すのを見て、「自分たちもこうなりたい」というあこがれを持ち、そのためにも今の勉強をがんばろうという具体的な目標ができた。

 それぞれのコラボ授業で、下の学年は「先々でこういう勉強をするんだな」という見通しをもつことができ、上の学年は相手に合わせた伝え方をすることで表現力を豊かにするとともに、アウトプットしながら知識が整理され、自分の学習をふり返ることにもなった。

 一番の成果は、どの学年からも「楽しかった」という声が聞けたこと。異学年交流の良さが改めて感じられたという。