取手市教育委員会
新しい学習指導要領の要点を
模擬授業を通じて身に付ける
取手市教育委員会指導課では今年度、小中学校の教員向けの夏季希望研修として、小学校国語、小学校算数、英語、道徳の授業づくり研修、ICT活用研修の五つの講座を開講した。講座の中には新しい学習指導要領が求める「主体的・対話的で深い学び」を実現するための授業改善方法や、学習状況(じょうきょう)の評価方法などに重点を置いたものもあった。
「ごんぎつね」から言葉が持つ力を学ぶ
国語科の講座「模擬(もぎ)授業を伴(ともな)った今求められる国語科の授業づくり」には、市内小中学校の教職員21人が参加。講師の菊池先生は、前文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官として先の学習指導要領改訂(かいてい)にかかわり、その知見を基に、基幹学力である国語の力をどう育成するかについて話した。
模擬授業では「ごんぎつね」を教材に、読んで感じたことや考えたことをまとめた。実際の授業では一読するとすぐ感想を書かせがちだが、その前に物語の全体像をとらえておくと、より核心(かくしん)に近付きやすくなるという。時間、場所、登場人物などに着目して場面分けし、場面ごとに中心人物であるごんの行動や心情の変化を追っていった。
ごんがくりや松たけを届けたのは、いたずらのつぐないと同時に、自分と同じひとりぼっちになった兵十への気づかいでもあり、だから兵十がそれを「神様のしわざ」と思ったことに「つまらないな」という気持ちもわいた。物語の結末では、ごんが兵十にうたれてしまうが、その悲しさの中に、やっと心が通い合ったといううれしさも感じられた。
参加した先生の一人は、「今年度の校内研修のテーマに沿った内容で、とても勉強になった。国語科の奥深さと魅力(みりょく)を再確認することができた。校内で伝達し、今後の研修に生かしていきたい」と話していた。
講座をきっかけに情報交換も盛んに
ICT講座には55人が3クラスに分かれて参加。初級クラスでは学習支援(しえん)システムのスカイメニューやデジタルドリル教材のeライブラリの効果的な使い方を学んだ。中・上級クラスではマイクロビットによるプログラミング学習のほか、授業や校務が便利になるさまざまなアプリなども紹介(しょうかい)された。
ワードクラウドは、多くの人が書いた言葉が大きく表示され、クラス内の意見の分かれ方が直観的に分かる。テキストマイニングツールを使うと、長い文章からでもキーワードを取り出してくれるので、話題をしぼりこんで議論を深めることができ、道徳や国語の授業で初発の感想と、議論を経た後の感想を比べるにもいい。
デジタルホワイトボードはグループワークに適したアプリで、各自がタブレットに書きこんだ情報が一つの画面上に表示される。白地図にみんなで道路や線路などを記入し、1枚の地図を完成させるとか、教科書の文章を画面に出し、それぞれが重要と思った個所に線を引くといった使い方もできる。
これらの資料はチームズで共有され、講座に出席できなかった人たちも自主的に研修するほか、新しい使い方を教え合ったり、質問に答えたりなど、情報交換(こうかん)もますます盛んになっているという。