土浦市教育委員会

小学生新聞

弁護士による学校支援
スクールロイヤーの活用に向けて

7月28日(木)、市内全小・中・義務教育学校23校の教頭に向けて「スクールロイヤー管理職研修」を実施(じっし)した。6月には全校の学校長が同研修を受講しており、まずは管理職がスクールロイヤー制度への理解を深めた後に教職員へ広げ、学校運営や教育現場での活用につなげていくことがねらいだ。研修ではとくに、いじめ防止に焦点(しょうてん)があてられた。

専門的な立場から教職員のサポート
 スクールロイヤーは、法的観点にもとづいて学校支援(えん)を行う弁護士のこと。市では今年度より、外部人材活用の一環(いっかん)として土浦市スクールロイヤー制度を導入している。学校で起こるさまざまな問題について弁護士という専門職の立場から相談に応じるほか、研修講師などを担う。専門職のサポートによって教職員の負担が減るとともに、教職員一人ひとりが法的知識や法的思考能力を身につけることで自信をもって指導や問題解決に取り組むことができるようになるのではと期待が寄せられる。
 今回の研修では、土浦市スクールロイヤーが講師をつとめ、スクールロイヤーの活用を呼びかけるとともに、いじめ防止対策推進法についての講義などを行った。

多様化するいじめへ正しく対応するために
 「いじめ防止対策推進法の施行(しこう)によって、法律上のいじめの定義が明確になったが、指導の現場ではかならずしも『いじめ』という言葉を用いる必要はない」と話すスクールロイヤー。「大切なのは、いじめにあたる行為(こうい)に対して広く網を張ってすくいあげ、迅速(じんそく)かつ適切に対応していくこと」と言葉を続ける。たとえば、逆上がりのできないAさんに対してBさんが放課後熱心に指導してあげたケースでは、「Aさんが『みんなにじろじろ見られてはずかしかった』といやな思いをした場合は、親切心からの行為であっても法律上でのいじめにあたる」と解説する。しかし、必ずしもBさんに対する強い指導が必要なわけではなく、ケースに応じて個別に対応することが当然求められる。「多様なケースがあることを理解したうえで、組織全体で対応するシステムを整えることが大切。担任一人がかかえこむことのないよう、現場の指揮官である教頭が目を配ってほしい」との言葉に、参加者全員が大きくうなずいた。

外部人材を活用しより良い学校づくりを
 参加者の一人、新治学園義務教育学校の教頭は「クラス内でいじめについて話し合う時間を設けるなど、子どもたち主体でいじめ問題への取り組みを進めている。スクールロイヤーの出前授業も活用し、より有意義な学びに役立てたい」と話す。また、大岩田小の教頭は「日ごろからスクールロイヤーの活用に関心をもっていた。専門家の講話を聞き、まずは自分自身が法的な知識をしっかり身につけなくてはと身が引きしまる思い。今日の学びを職員会議で共有し、校内研修などにも生かしていきたい」と制度の活用に意欲をみせる。
 市教育委員会では、今後もスクールロイヤー制度の周知を図るとともに、教職員に向けての研修や出前授業、法務相談などの機会を増やしていく考えだ。