土浦市/乙戸小学校

SDGsの視点授業に取り入れ
持続可能な社会をつくる力育む

土浦市立乙戸小学校は昨年度、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の視点を取り入れた授業に取り組んだ。貧困や気候変動など地球規模の課題を自分の問題として考え、持続可能な社会づくりにつなげる力を育むことがねらいだ。子どもたちはSDGsの目標について理解を深め、生活を見直し始めた。よりよい未来に向けて一歩をふみ出した。

SDGsシールで関連わかりやすく
年度初めからスタートした取り組みでは、まず先生たちが研修でSDGsの17の目標を学び、各学年の授業と関連づけた計画表を作成した。昇降口(しょうこうぐち)に設置した電子黒板にSDGsに関連した動画を流したり、授業ではSDGsカードやシールを活用したりしながら、子どもたちが常にSDGsの目標を意識して学べるよう工夫した。
2年生は生活科の町探検で、SDGs11番「住み続けられるまちづくりを」を軸(じく)に地域で働く人からその地で暮らす人の生活をよくしようとがんばる思いを聞いてまとめた。4年生はユニクロとジーユーの出張授業で、SDGs12番「つくる責任つかう責任」と関連づけて着るものがない難民について学び、自分たちができることをしようと、他学年に呼びかけて不要な衣類を回収した。5年生はSDGsについて広く知ってもらおうと、「SDGs宣言」をかかげ、下の学年の子どもたちに生活の中でどんな活動がSDGsにつながるかをアドバイスした。

関連づけて学ぶうちに行動しはじめた子たち
取り組みを進めた5年生担任(当時)の中沢聡美先生と4年生担任(同)の井坂良太先生によると、当初、大半の子どもたちはSDGsという言葉を知っていても内容までは知らなかったが、授業に関連づけて学ぶうちに理解を深め、自分たちの生活を見直すようになったという。「例えば自分たちが残す給食で何人の難民の命が救えるか考えるようになった」と井坂先生。子どもたちは給食を残さず食べるようになり、教室の電気をこまめに消すようになった。「登下校路にゴミがある」と校長先生にうったえ、ゴミ拾いをする子も現れるようになった。「SDGsをきっかけに、考え、調べ、行動するようになった。子どもたちの中で何かが回り始めた」と井坂先生。

委員会活動にも取り入れたい
これらの取り組みを中沢先生らがまとめた論文は、昨年同市教育委員会の教育論文優秀賞を受賞するなど高く評価された。中沢先生は「最近は子どもたちの方から『授業のこの部分はSDGsの何番につながる』と自発的に関連づけをしてくるようになり、SDGsの視点が根づいてきたことを実感する」と述べた。さらに「学んだ視点を生活や学習に生かすことは、新学習指導要領の『学びに向かう力・人間性の涵養(かんよう)』にもつながる。今後はSDGsの視点をこれまで以上にはば広い教科に関連づけ、委員会活動にも積極的に取り入れていきたい」と力をこめた。