取手市/山王小学校

小学生新聞

小規模特認校の特色ある取り組み
創造力・表現力を養うアート活動

 昨年度から、市内のどこからでも通学できる小規模特認校となった取手市立山王小学校では、小規模だからこそ実現できる五つの特色ある教育活動に取り組んでいる。その中の一つ、「アーティストと育む『創造する力・表現する力』」では、地元のアートNPOと連携し、日本語を母語としない芸術家と、子どもたちの自由な発想や体験を大切にしながら、身近なところにある自然の素材を生かした作品を制作している。

外国人の先生から
英語で学ぶ創作活動

 6月20日(月)、同小では「となりのスタジオ」の活動が行われていた。今回取り組んでいるのは「植物泥絵(どろえ)」。身近にある自然の物だけで、絵を描(か)き作品を作ろうという取り組みで、教えてくれるのは市内の東京藝術大学で学んだ中国出身の先生だ。先生の説明は英語。同小の特色の一つである「生きた英語で学ぶ国際教育・英語教育」がここにも生かされていて、子どもたちは通訳を交えながらも、英語を聞き取ろうと真けんな表情で先生の説明に耳をかたむけていた。
 これまでの活動で、子どもたちは木のフレームに和紙や麻(あさ)布をはって自分でキャンバスを制作。また学校周辺を散策して植物や土、石などを採集し、乾燥(かんそう)させ、粉々にくだいて素材を準備した。活動の拠点(きょてん)となっているのが、「となりのスタジオ」という教室で、先生が週に2~3日学校を訪れ、休み時間や昼休みにここで子どもたちといっしょに作業をしたり、ドライフラワーを使った花束作りなどのワークショップを行ったりしている。

自然の素材を使い
創造力・表現力を養う

 この日の活動は絵の下地を作ること。机の上には、学校近くで取った色の異なる数種類の土や大洗海岸の砂、子どもたちが準備した植物や実、わら、綿などいろいろな素材が並び、子どもたちは好きなものを数種類選んで皿にのせていった。これらを混ぜ合わせ、ボンドと水を加えたものを刷毛やヘラでキャンパスにぬっていく。混ぜたものによって、色も質感もさまざま。乾燥させれば、土かべのような下地の完成だ。次回は、貝がらや石をくだいて粉にした絵具を使って絵を描いていくという。
 身近な物から自由な発想で作品を制作し、「創造する力・表現する力」を養っていく「となりのスタジオ」の活動。後期は「大地からはじまること」と題して、学校近くの田んぼの土を使って土器を作る。土器を焼く際には、せん定によって切られた校庭の樹木をマキに使用するなど、こちらも身の周りの材料を利用し、地域の人にも協力してもらって取り組む予定だ。

コミュニティ・スクール
として地域と連携も

 特色ある教育が注目され、現在十数人が学区外から通学している同小。今年度からは市内初のコミュニティ・スクールにもなった。これまでも伝統芸能の「山王三宅太鼓(たいこ)」の指導や農業体験などで地域の人たちと交流してきたが、今年は「学校運営協議会」も発足し、これまで以上に地域との連携(れんけい)を深めていく。「地域の人といっしょにいろいろな活動を行い、山王小が地域のコミュニティの中心となれるようにしていきたい」と校長。19日(火)には、同小の取り組みを紹介(しょうかい)するオープンキャンパスを開催(かいさい)。※申しこみは同小まで。