牛久市教育委員会
教師・保護者・地域が共に学び合う
コミュニティ・スクールを実践
全小・中・義務教育学校でコミュニティ・スクールを導入している牛久市。保護者や地域の人も学校運営に参加し、「教師も、保護者も、地域も、共に学び合う『学びの共同体』の学校づくり」を実践(じっせん)している。保護者や地域の人が学校運営にかかわることで、学びの質を高めるとともに、保護者と地域の人たちが交流する場が生まれ、地域づくりにもつながっている。
地域の力を借りてより深い学びを
コミュニティ・スクールとは、学校運営に保護者や地域住民が参画し、地域と一体となって子どもたちを育む学校づくりをすすめる仕組みのこと。教職員や保護者、地域住民など20人ほどで構成される学校運営協議会が年に数回開かれ、学校運営に関するさまざまな議題が協議される。
コミュニティ・スクールを導入した理由について、「子どもたちの65%が今は存在しない職業に就くといわれている時代に、子どもたちには解のない未知の課題を解決していく力が求められる。地域の力を借りることで、その力を養うためのより深い学びが行えると考えた」と社会教育指導員の髙森さんは話す。
学校理解を深め学校運営協議会で協議
学校運営協議会の委員には、学校の学びを共有してもらうため、ふだんから子どもたちの授業を参観したり、研究授業やその後の研究協議にも参加したりしてもらっている。そのように学校理解を深めた委員が、授業づくりや学校運営にかかわる協議を行っている。
例えば小学校の防災学習では、以前は地域住民が子どもたちに地域の防災か所について案内し説明していたが、子どもたちに学習のヒントを与え、自分たちで地域防災の課題や災害への備えに気付ける学習になるようにかかわり方を工夫した。
また中学校の授業では、地域住民から直接ごみ問題や空き家問題などの地域の課題を聞き、課題解決に取り組む。子どもたちは課題を解決するアイデアを練って市役所に出向いて提案し、担当者と話し合いを重ねて地域の人に発表した。実際に地域住民と意見を交わすことで、子どもたちの「人の役に立ちたい」という気持ちを高め、課題解決に向けて積極的に取り組むことができたという。
地域や保護者も共に学んで地域づくり
地域の人や保護者が共に学ぶことで学習の幅(はば)が広がり、子どもたちの学びの質を高めて「生きる力」を養うことを目指すコミュニティ・スクール。学習の場やスクールボランティアに地域の人や保護者がいっしょに参加することで、人と人との交流も生まれ、地域づくりにもつながっている。「子どもたちは地域の宝。地域の人たちに見守られ、地域の人たちとともに学んでいってほしい」と髙森さんは期待をこめた。