つくば市/桜学園

桜川がもたらすさまざまなめぐみ 地域の自然や人材に学ぶ環境学習

 つくば市立桜学園では、身の回りの自然や地域の人材を活用した環境(かんきょう)学習に力を入れている。特に大きいのが桜川の存在で、子どもたちは生きるために大切な多くのことを学んでいる。

川に親しみながら命を大事にする

 地域を流れる桜川は自然が豊かで、人びとの暮らしにうるおいをもたらしている。一方で、台風や大雨のときは水害のおそれもあり、防災学習ではタイムライン(防災行動計画)を作成するなど、自然との上手な付き合い方も学んでいる。

 栄小と栗原小では毎年、4年生が桜川にフナの稚魚(ちぎょ)を放流している。川はふだんは行ってはいけない場所で、子どもたちにはこわいイメージの方が大きかったが、実際に水にふれて冷たさを感じ、思ったより水がきれいなことも実感できた。

 桜川漁業協同組合の人からは、川がたくさんの生命を育んでいると聞き、大切に守っていきたいという思いが高まった。

上流と下流を見比べ地形の差など実感

 栄小の5年生は、理科の「流れる水のはたらき」の単元に関連した学習をした。川の上流と下流とでは、水の流れる速さや、川原にある石の大きさなどがちがい、それぞれに特有の地形が作り出されている。その様子を茨城県霞ケ浦環境科学センターの人による出前授業により、桜川で実際に観察し、確認することができた。

 川から引いた水は周りの田や畑へ送られ、私たちが食べる米や野菜などを育てるために使われている。このことを知って子どもたちは、川の水をよごさないようにしよう、家や学校でも水を大切に使おうという思いを新たにした。

地球環境を意識し身近な自然を守る

 つくばスタイル科の授業では、SDGs(持続可能な開発目標)に関連して、環境を大切にすることを学んでいる。その中で栄小の6年生は、自分たちにできる活動は何だろうかと考え、空き缶(かん)のリサイクルに取り組むことにした。

 7月から2月までの間、自宅で出た空き缶や、登下校のとき通学路に落ちていた缶などを集め、買い取り業者に持ちこみ、得られたお金は能登半島地震(じしん)の義援(ぎえん)金として寄付した。自分たちが集めたごみが資源となって有効活用されるとともに、社会のだれかの役に立ったことが実感でき、子どもたちはとても喜んだ。

 校長は「私たちの生活と環境は切っても切れない。自宅の台所などの排水(はいすい)も、桜川を通じて霞ケ浦や海まで流れ、世界中のすべての自然環境とつながっている。そのことを子どもたちに考えてほしくて、環境学習に力を入れている」と話している。