つくばみらい市/小張小学校

農業体験でいきいきとした学びを 人とのかかわりが豊かな心を育む

つくばみらい市立小張小学校では、子どもたちが農業にふれ合う機会づくりを大切にしている。そこには、社会的な課題となっている農業ばなれへの対策という意義はもちろん、農業体験を通じて協働の心や生産者への感謝の気持ちを学んでほしいという願いがこめられている。5月には、地元農家やPTA、学校運営協議会のメンバーなど地域の人々の協力のもとで田植えとさつまいもの苗(なえ)植えが行われた。

土にふれ、全校児童で元気に楽しく農業体験
 同小の農業体験の特色のひとつは、苗植えや収穫(しゅうかく)などの作業に全校児童で取り組む点だ。「小規模校だからこそ全員いっしょに活動できる一方、教職員の人手に限りがあるという難しさもある。だからこそ地域の方々のサポートは本当にありがたい」と教頭。この数年、コロナ禍(か)や学校行事の縮小などを受けて休止していた米づくり体験を今年度再開することができたのも、PTAをはじめとする地域の人々の熱意と協力があってこそと言葉を続ける。

育てる楽しさと難しさ食べる喜びを実感

 5月8日(木)には地元農家の石塚さんの協力のもとで田植えを、同27日(火)にはつくば自然農家の坂本さんの協力のもとさつまいもの苗植えを体験した子どもたち。「まっすぐ植えるのは難しかったけど楽しかった」「どろの中を歩くのがおもしろかった」「収穫が楽しみ」と、いきいきとした表情を見せる。収穫した作物は、販売したり、同小の秋祭りにておにぎりや焼きいもなどで味わったりする予定だ。
「食べ物があるのは当たり前ではなく、そこにはたくさんの人の手がかかっていることを実感してもらえたら」と話す教頭。坂本さんも「無農薬で育てた野菜のおいしさや、自分で育てた野菜を食べる喜びを感じてほしい」と期待を寄せる。

地域文化を深く知り、グローバルに展開を

 同小では英語教育にも力を入れており、火曜木曜を「イングリッシュデー」と定めて英語であいさつをかわしたり、朝の時間に英語をつかったゲームをしたり、楽しみながら英語にふれる機会を増やしている。また、地域の伝統芸能である綱火(つなび)の保存・伝承にも取り組み、その歴史の研究や発表、祭礼への参加なども行っている。
 「すべての取り組みは、人とのかかわりのうえに成り立つもの。農業や地域文化への親しみがベースにあってこそ、英語でのコミュニケーションもより有意義なものになるはず」と教頭。これからも地域とのかかわりを大切にしつつ、農業や綱火の体験で得た学びを英語で発信していく場も設けたいと意気ごみを見せる。