つくばみらい市/伊奈東小学校

ピア・サポートで育つ思いやりの心 地域と、仲間と、つながる喜びを

 2020年4月に板橋小学校と東小学校の統合校として開校したつくばみらい市立伊奈東小学校は今年、5度目の春をむかえた。同小では地域との交流を大切にしており、4月17日には2年生の児童たちが学区内にあるすみれ幼稚園の年長クラスの子どもたちといっしょにたけのこほりを体験した。児童たちは自分でほったたけのこをうれしそうにかかえて持ち帰り、それぞれの家庭で春の味覚を楽しんだ。

地域の畑で収穫体験土にふれ、食を学ぶ

 たけのこほりは東小時代から続く春の恒例(こうれい)行事で、竹林の準備やほり方の指導など地域の方の厚意によって実現している。「横断幕を用意して歓迎(かんげい)してくれ、地域の方も子どもたちもみんな笑顔になれる素晴らしい体験で本当にありがたい」と、教頭は目を細める。

 たけのこの他にも、各学年で人参や白菜、米といった作物の収穫(しゅうかく)体験を行い、ときには生産者が野菜づくりや地域の農業について教えてくれる出前授業もある。また、同小在職の主任栄養係長が、給食に使われている食材の生産者や栄養価について紹介(しょうかい)することで、地元でとれた野菜により親しみを感じながら食の大切さを学ぶことができるのも同小の特色のひとつだ。

ほのぼのとした交流で地域に愛される学校へ

 グランドデザインの中に「地域と共にある開かれた学校づくりに努める」という一文があるように、地域との交流は収穫体験の他にもさまざまな形で実現されている。「花だんの手入れをしてくれる方、『教室にかざって』と季節の花を持ってきてくれる方、歩きやすいよう草ふみをしてくれる方など、地域の方があたたかい気持ちで見守ってくれる」と教頭。めざす児童像のひとつである「礼儀(れいぎ)正しく、思いやりのある子」は、地域に愛される学校づくりにも欠かせない。昨年度より取り組んでいるピア・サポートと「あったか言葉」はまさに、思いやりの心を育てるための活動だ。

耳にやさしい言葉は思いやりの心に満ちて  ピア・サポートとは、本人が持っている力を引き出せるよう、仲間がその支えとなる活動のこと。言って楽しい、言われてうれしい「あったか言葉」を日常的に使うことがより良い関係づくりや自己存在感の向上などにつながると考え、「あったか言葉」を集めた辞典を作ったり、たくさん使う3日間チャレンジに取り組んだりしている。これまでの活動を通じて、児童からは「他の人とのかかわり方が良くなり、苦手だった話すことも上手になったと思う」「話し方が変わり、ピア・サポートをいかした生活ができている」などの声が聞かれた。ピア・サポートは異学年交流にもいかされ、学年や学級をこえてあたたかい交流の輪が広がっている。