つくば市/秀峰筑波義務教育学校

秀峰筑波

100年後の未来へ残したい
地域に伝わる3つの国文化財

つくば市立秀峰筑波義務教育学校の学区内には3つの国指定文化財がある。常陸国の筑波郡の郡役所を復元した平沢官衙(かんが)遺跡(いせき)、鎌倉時代から約400年続いた小田氏の居城跡(あと)、筑波山神社に伝わる太刀「吉宗」だ。同校では5年生が、つくばスタイル科の「学校周辺の歴史文化を発見しよう」の単元で学んでいる。

専門家の講話から
学びの意欲高まる

 この単元では、3つの文化財から各自が1つを選び、インターネットで調べた後、ゲストティーチャーの講話を聞いた。「講師の先生には、ネットでも出てこなかったすごい情報を、たくさん教えてもらった」と子どもたちの感想。
 例えば小田城では、城を最初に築いた八田知家は、鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝を支えた13人の武将の一人であること、小田家15代目の小田氏治は「戦国最弱武将」などと言われるが、上杉謙信など多くの有力武将と戦い、城を何度取られても取り返していることなどを知った。
 学習の結果、子どもたちは文化財への興味が増し、「もっと調べてみたい」と思うようになった。講師の先生が自分たちの疑問や質問にしっかりと答えてくれたことも、大きな刺激(しげき)になったようだ。

多くの人に知られ
訪ねてもらうため

 このようなすごい宝が地元にあることを知って、子どもたちは「文化財を大切にし、未来へ守り伝えたい」と思うようになった。そのための方法の一つとして、ポスターや新聞、リーフレットなどを作って、いろんな人に見てもらい、良さを知ってもらおうと考えた。
 遠くの人には動画で伝えることにした。「世界中の人に知ってもらえれば、日本でも知らない人が少なくなり、地域の人にも大切にしてもらえると思う」という意見も出ていた。子どもたちは1人1台のタブレット端末(たんまつ)を使い、パワーポイントで動画を制作。その一部はポスターなどに掲載(けいさい)されたQRコードを読みこむことで見ることができる。

香りがすばらしい
特産の福来ミカン

 2年生は毎年、つくばスタイル科の授業の中で、筑波山が原産の福来(ふくれ)ミカンについて学んでいる。子どもたちは市の自然体験施設(しせつ)「筑波ふれあいの里」で福来ミカンを収穫(しゅうかく)。学校へ持ち帰り、皮をむいたものを陳皮(ちんぴ)に加工し、給食の食材に使ってもらった。
 給食センターでは、福来ミカンを使ったさまざまなメニューを開発している。中でも「福来ラーメン」は、リクエストメニューにもよく選ばれている人気の一品。スープに垂らした香味油から、福来ミカンのさわやかな香りが広がり、食欲をそそると評判だ。
 活動の後、子どもたちからは「おいしかった」「地域の良さを知ることができてよかった」「もっと広めていきたい」などの感想が上がっていた。