龍ケ崎市/松葉小学校
身近な自然とのふれあいを通し 未来や世界の問題に目を向ける
龍ケ崎市立松葉小学校は「共に学び合う児童の育成」を目標に、市の掲げる「龍の子人づくり学習」に全ての教育活動で取り組んでいる。カブトムシを題材にした環境(かんきょう)学習を10年前から行っており、2022年度からはSDGs(持続可能な開発目標)の第15目標「陸の豊かさも守ろう」を、総合的な学習の時間の課題に取り入れている。
カブトムシから学ぶ 豊かな自然の大切さ
松葉小の子どもたちは外遊びが大好き。校内で自然体験ができる二つの森もある。その一つ「松葉の森」は、小さな里山のような空間。さまざまな種類の木々が枝をのばし、野鳥のための巣箱やえさ台も置かれている。業間休みや昼休みには子どもたちが、虫かごやあみを持って探検に出かける。
もう一つの「歳時記(さいじき)の森」では、落ち葉を積んで作った腐葉土(ふようど)にカブトムシの幼虫がたくさんすんでいる。3・4年生の環境学習の授業では、県環境アドバイザーの協力で、幼虫をほり出して体長、体重、体温を測り、観察結果を絵や文章にまとめた。
4年生は教室でも幼虫を育て、ケースの中でさなぎや成虫になる様子を観察している。森へ返した成虫は卵を生み、次の世代の幼虫が育って命が続いていく。
また幼虫は、腐葉土を食べて栄養豊かな土にしてくれる。6年生はこの土を使って実験をした。土には植物を育て、生き物のすみかになるだけでなく、よごれた水をきれいにし、酸性雨を弱めるなどの働きもあることが分かった。
外部講師と担任が協調 専門知識を自分ごとに
5年生は総合的な学習の時間に「SDGsについて考えよう」というテーマで、水や電気、ごみ、食品ロスなどの問題について学んでいる。
水の問題では、地球上には約14億立方キロメートルの水があるが、飲み水などに使えるのはその0・01%だけ。世界のうち20億人は、安全管理がされていない湖や川、用水路などの水を飲んでいる。限りある水を大事に使いたい。例えば手を洗うには、水道から出す水の太さがえん筆1本分くらいで十分に足りる。
学習成果を生かし、自分たちができるSDGsについても話し合った。洗たくにふろの残り湯を再利用する、洗ざいを使いすぎない、好ききらいや食べ残しで食べ物をむだにしない、ゲーム機を使わないときはコンセントをぬく、着なくなった服はリサイクルする−−などの提案があった。
「外部講師の先生からは社会の問題へ目を開くきっかけをいただき、担任の問いかけで、それを自分ごととしてとらえ、自らの生活や社会にどう働きかけていくか考える。友達と話し合いながら共に学び合う子どもたちの姿を見ることができた」と、教頭は語っている。