土浦市/東小学校
心をつなぎ、成長を感じるみんなの大切な「いちょう集会」
土浦市立東小学校のシンボルツリーは、昇降(しょうこう)口の前で子どもたちを見守る大きないちょうの木だ。東小学校ではおよそ20年前から毎年秋に全校児童による学習発表会を開催(かいさい)しており、合唱や合奏、演劇など各学年によるステージ発表を行う交流と成長の場は「いちょう集会」の名前で親しまれている。
主役は子どもたち工夫をこらした発表を
4月の「1年生をむかえる会」に始まり、年度を通して行われるさまざま行事の企画(きかく)や進行を務めるのは5・6年生を中心とした代表委員会の児童たち。2022年度のいちょう集会も、27人の児童による代表委員会が運営を担当した。教務主任の先生は「自分たちで工夫しながら行事をつくりあげる経験を、協調性やリーダー性を育むことにつなげていきたい」と子どもたちの成長に期待を寄せる。
各学年の演目は、その年に新たに学んだことなどを盛りこんで決定される。たとえば、2年生は国語で学習した「十二支」をテーマにした劇を、4年生は初めてチャレンジした二部合唱を披露(ひろう)する、といった具合だ。進行を担当する代表委員の児童は、感想や次の発表内容を紹介(しょうかい)しながら演目の間をつないでいく。自分たちで演出を考え、楽しく表現することで会を盛りあげた。
3年ぶりの有観客に高まる意気ごみと喜び
校内で行うミニ音楽会や6年生を送る会など、子どもたちが学習や練習の成果を発表する機会はほかにもあるが、「いちょう集会は、保護者にも観覧していただく場という点で特別」と、2022年度6年生の担任を務めた先生は話す。コロナ禍(か)の影響(えいきょう)で令和2・3年度は校内のみでおこなったが、2022年度は3年ぶりに保護者が招かれた。密をさけるため2部制でおこない、場面によってはフェイスシールドやマスクを着用しての発表となったが、「みんなの前で発表し、たくさんの人に見てもらう」という本来の形が復活した。「2年間規模を縮小して行ってきたので『今年はママに見てもらえる』『下級生にはずかしくない発表を』と、子どもたちの気合もちがった」と先生はふり返る。
たくさんの学びと大切な思い出を胸に
いちょう集会には毎回スローガンがあり、これも子どもたちが案を出し合って決めていく。昨年度のスローガン「伝えよう、楽しさ。心を一つに、かがやけ笑顔」には、一人ひとりが心を一つにし、見る人へ楽しさを伝え、笑顔を届けられるよう全力でがんばるという思いがこめられている。
「いちょう集会は、協力する大切さと表現する喜びを知り、保護者への感謝を表す場。上級生はリーダー性を学び、下級生は上級生の姿にあこがれや目標を見つけることでそれぞれの成長につなげて欲しい」と、教務主任の先生。昨年度、多くの児童が文集のテーマに選んだのはいちょう集会について。みんなといっしょに練習し、全力で発表する経験は、子どもたちにとって成長の場であるとともに、心に残る思い出として大切に受けつがれていく。