つくば市/高山学園

子どもたちがやりたいことを実現「カトちゃんプロジェクト」

 つくば市立高山学園に、今年度から新たに加わったのが香取台小学校だ。「思いやりのある心ゆたかな児童の育成」を目指す同小では、子どもたちみんなで心を合わせながら、さまざまな活動にはげんでいる。

アンケートに基づき楽しい学校づくり

 香取台小では、「子どもたち自身が自分たちで学校を創る」という理念のもと、子どもたち中心の楽しい学校にしたいとの思いから実践(じっせん)の一つとして「カトちゃんプロジェクト」を4月にスタートさせた。3年生以上の児童へのアンケートで、どんな学校にしたいかや、どんなことをやりたいかを聞き、その答えに基づいて、いろいろなプロジェクトを次々に実現させていった。

 最初に行ったのは5月の「じゃんけん大会」。全校児童が体育館に集まり、映像を取り入れたじゃんけんゲームでチャンピオンを決めた。単純なゲームだからこそ、1年生から6年生までみんなで盛り上がることができた。

 「ルールメイキング」では、校庭の遊具のよりよい使い方を子どもたち自身で考えた。パイプ型の遊具では、上から降りる子と下から登る子がいたので、上からの一方通行にして解決した。ブランコでは、こぐ回数を決めて並んだ人が平等に乗れるようにし、ほかの遊具でも、使える学年を曜日ごとに割りふるなどのルールを作ることによって納得感と意義を感じながらルールを守って楽しく安全に遊んでいる。

「大谷グラブ」でキャッチボールも

 ほかにも「パソコンの使い方」「いじめ撲滅(ぼくめつ)」「タイピング選手権」など、これまでに12種類のプロジェクトが実現し、今後も続いていく見こみだ。アンケートに書かれてなくても、新しい企画(きかく)を考えた児童が、休み時間などに校長室で提案して、実現したものもある。

 昨年末、メジャーリーガーの大谷翔平選手から全国の小学校へおくられた「大谷グラブ」が、同小にも届いた。これを受けて体育委員会では「野球しようぜプロジェクト」を発案。各クラスで順番に行っていく予定で、初回は1月23日(火)の6年1組。クラスのほぼ全員が参加し、男子も女子も、グラブを初めてはめた子も、みんなでキャッチボールを楽しんだ。

 「子どもたちが自分たちで考えて、やりたいことをできるようになってきた。ぜひ、自分なりの楽しさを見つけてほしい」と校長は話す。

多様な職業の人から働く意義を聞く

 同小では「大人や社会とつながろう」を合言葉に、キャリア教育にも力を入れており、講師を派遣(はけん)している企業や保護者の中からいろいろな職業や働き方の人に、ゲストティーチャーとして来てもらっている。

 例えば洋服の通販(つうはん)の会社の人には、洋服を見て値段を付けたり、その服の良さが伝わるような見せ方を考えたりする体験をさせてもらい、その会社ならではの「働くとはどういうことか」を教えてもらった。証券業協会の人からは、「おかしの会社をつくろう」という勉強で、売り出す商品の企画書やパッケージデザインを考えてみることを通して、実社会での株式会社の仕組みを学んだ。

 「さまざまな職種の人から働くことの意義ややりがいを聞き、自分の将来に向けて希望あふれる夢を描(えが)けるようになってほしい」と校長は話している。