水戸市/水戸市総合教育研究所
同世代の仲間や高校生と共にビジネスマインドを育てる
水戸市総合教育研究所が主催(しゅさい)する「次世代エキスパート育成事業」は、市内の県立高校や専門学校等と連携(れんけい)し、国内や世界で活躍できる人材育成を目指すもの。水戸商業高校ではその一つ、経営者に求められる考え方やスキルを学ぶ「プロジェクトX〜社長になる!〜」コースが開かれた。日程は3日間で、第1日の8月9日(金)は貿易ゲームに取り組んだ。
貿易ゲームでの取り組み
同コースには市内の小学生4人、中学生3人、水戸商の高校生13人が参加し、班に分かれて貿易ゲームを体験した。
各班が一つの国で、小中学生が国王と外務大臣、高校生が労働者という設定。労働者が紙を切って円形や三角形などの図形を生産し、それを国王が世界銀行に売ってお金をかせぐ。ただし資源である紙、生産設備にあたるはさみや定規などの道具、資本金としてあらかじめ所有するお金は、国によって保有量が異なるため、その国の実情に合った生産計画を立てる必要がある。不足しているものを他国と交渉(こうしょう)して手に入れてくるのは、外務大臣のうでの見せ所だ。
国ごとにちがうかせぐための方法
商品となる図形のうち、最も値段が高いのは5000円の円形。それを作れるコンパスは、どの国ものどから手が出るほど欲しい。「10000円で売って」「15000円で5分間だけ貸して」などと外務大臣の交渉の的になった。
一方で、円形ははさみで切るのに時間がかかる。時間制限がある中で効率よくかせぐには「商品を作るより、コンパスを売ってお金にかえた方が早い」という考え方もある。また「高いお金でコンパスを買うなら、円形より少し安い3000円だけど、簡単に作れる長方形を大量生産した方がいい」と考える国もあった。
どうしたら各国が平等にかせげるか
2回目のゲームの前には、各国の国王を集めて国連会議が開かれ、「だれ一人取り残さない持続可能な開発」というSDGsの理念と「貧困をなくそう」「人や国の不平等をなくそう」「平和と公正をすべての人に」などの個別目標を確認した。その結果「自国だけでなくみんなが協力してもうけよう、困っている国を助けよう」という意識が高まり、2回目の最貧国の売り上げは1回目の約1・8倍に上がった。参加した小中学生から「その国の持つ資源が、かせぎ方や財産にかかわるのが分かった」「話し合い、交渉してやりとりできた」「おたがいに足りないものを補い、助け合うことが大事」など、意見が寄せられた。
なお、8月21日(水)の同コース第2日では、ハンバーガー店の出店計画を通じてマーケティングを学び、8月22日(木)の第3日では、身近な問題を解決するためのビジネスプランを考えた。