龍ケ崎市/龍ケ崎市教育委員会

子ども自身が障害による困難さを乗りこえるための「自立活動」

龍ケ崎市教育委員会は8月2日(金)、自立活動の指導プロセスについて学ぶ夏期研修講座を開いた。自立活動は、障害のある児童生徒が学習や生活の困難さを克服(こくふく)し、心身の調和的発達の基盤(きばん)づくりを目指すもの。その実践(じっせん)には特別支援(しえん)教育の担当教員のほか、通常学級の教員や管理職など、より多くの教職員が理解を深める必要がある。

指導プロセスの具体例 困難さの原因に着目

 自立活動の目標は、子どもの日常生活や学習場面に立ちはだかる「障害による困難さ」の原因にアプローチし、それを本人が主体的に改善・克服できるようにすること。
 例えばある児童の場合は、人の話を聞かない、よく考えずに行動するといった困りごとがあり、その背景に目を向けると、注意力や記憶(きおく)力の弱さ、活動に対する意欲の低さといった課題が見受けられた。そこで人の話をよく聞き、話の内容を覚えられるよう、本人に合った注意集中の方法を見付け、身に付けられるようにする、また、できたという成功体験を積み重ねることで、自ら進んで学習に取り組めるようにするといった目標を立て、それを基に指導計画が作られていった。

より多くの目と手で個別に解決策を考える

 自立活動では教科指導とは異なり、個に応じた指導が基本。表面的には同じような困難さに見えても、背景は一人ひとり異なり、困難さの原因も一つとは限らない。また、その児童が得意とすることを生かし、今持っている能力をさらにのばせるような指導の手立てを選べるようにしたい。
 そのためには保護者や、本人と接する機会がある複数の教員など、できるだけ多くの人がかかわり、対象となる児童生徒への理解を深めることが重要だ。かかわる相手や場所によって子どもが見せる側面もちがってくる。できる限りさまざまな場面や角度から多くの情報を集め、本人の実像にせまりたい。
 また、自立活動を通じて身に付けた能力を他の場面でも生かせるよう、通常学級の教員とも指導内容を共有し、同一歩調で指導できるようにすることも大事だそうだ。

助言やアドバイスも情報を共有する大切さ

 演習では、収集した児童の情報を自立活動の区分に沿って整理するとともに、その背景を読み解き、指導すべき課題を明らかにするトレーニングをした。その後、特別支援学級部会と通級指導教室担当者部会に分かれて情報交換(こうかん)などをした。参加者の主な感想は以下の通り。
 「情報を共有する機会を得られてよかった。ちがう学校の同じ職種メンバーと話をすることで、なやみに助言やアドバイスをいただけた」(龍ケ崎小教諭)
 「具体的な目標を担当教員が一人で決めるのは大変。いろんな人の目を入れ、多方面から見て検討することが大切」(馴柴小教諭)
 「一人よりみんなで相談して作った方がかたよりのない計画ができる。情報が多いほど児童の個性がつかみやすくなる」(川原代小教諭)