取手市/取手市教育委員会

多様化している児童生徒に対応する学級経営のあり方を学ぶ

8月7日(水)、取手市民会館(同市東)で教職員一斉(いっせい)研修会が行われた。市内の小中学校で活用している「ハイパーQU」の作成者である早稲田大学教授の河村先生を講師にむかえ、「多様化してきた児童生徒を前提とした学級経営のあり方について」というテーマで講演。QUテストから読み取れる子どもたちの傾向(けいこう)や問題点、今後の対策などについての実践(じっせん)的な内容の講話に先生たちは熱心に耳をかたむけた。

多様化している子どもたちの現状

 開会行事で、教育長が「子どもたちに寄りそえるよう、多様化していく子どもたちにどう向き合っていくかのヒントにしてほしい」と参加者たちに呼びかけ、講演会は始まった。
 まず現状について、「なんとなく」の無気力・非社会的な不登校が増加し、支援(しえん)が必要な子どもが増えて一般(いっぱん)の子どもに手が届きにくくなっているうえに、アクティブラーニングとインクルーシブ教育の両方が求められ、学級経営のハードルがとても上がってきていると説明。これらに対応するためには教員同士が連携(れんけい)することが大切であり、教員によって指導力のばらつきや対応のちがいが出ないための仕組みづくりが必要であると述べた。

「半歩のおせっかい」で子どもたちに寄りそう

 子どもの意欲や満足度、学級の状態などについて客観的に判断できるアンケート「ハイパーQU」の作成者である河村先生は、QUテストをどう学級経営に生かしていくかについても解説。QUテストによって個々の児童生徒や学級集団の状態を「見える化」して教員同士で共有して対応を考えることができるとし、今の子どもたちの特ちょうとして、自分から言わない、いやなことを言われると聞こえないふりをする、言いたいことはSNSで発散することなどをあげ、傷ついているかもしれない子どもに気づいてあげられるようにしたいと強調。教員が半歩ふみこんで声をかける「半歩のおせっかい」を心がけ、気になる子の早期発見・対応に努めてほしいと話し、子どもたちがかかえている小さな悩みを見つけるためにQUテストを活用し、関係づくりに役立てほしいと述べた。

信頼し高め合える教職員の組織づくり 

 最後によい学級集団をつくるためには、信頼(しんらい)し合い高め合える教職員集団があることが必須(ひっす)であり、学校全体として一貫(いっかん)した組織対応の方法を明確にし、改めてチームとしてみんなで支え合うことの重要性を説いた。
 講演会に参加した先生からは「教師は教えるだけでなく、児童生徒をサポートする役割があるということ、そのサポートが現代においてとても大切であることがよくわかった」「子どもの居場所づくり、子どもが安心して生活できる教室づくりを常に心がけたい」「見える化、行動化を定期的に確認しながら仕組み作りをし、組織をマネジメントしていきたい」などの感想があり、「今後の学級経営や集団づくりに生かしていきたい」との声が多数あがった。