取手市/取手市教育委員会

ハートとアートで子どもたちの未来を拓く取手市の学校教育

取手市では今年度より、「ハートとアートで子どもたちの未来を拓(ひら)く取手市の学校教育」をキャッチフレーズに、同市の特色である「アート」の視点を取り入れた教育を行っている。教育活動のあらゆる場面において、正解のない子どもたちの自由な発想や表現を大切にしようとする取り組みで、おたがいの考えや表現を受け止め、温かな学級や学年を構築するとともに、一人ひとりの思考力や表現力の向上を図るのがねらいだ。

自由に対話を重ねる対話型鑑賞ツアー

 東京藝術大学があり、以前から同大の学生と交流したり、作品にふれたりしてアートに親しんできた取手市の子どもたち。アートには正解がなく、自由に発想したり表現したりできるのが魅力(みりょく)だ。そのようなアートの視点を学校教育に取り入れ、生かしていこうとさまざまな活動に取り組んでいる。
 市内全14校の小学3年生を対象に行っているのが「対話型鑑賞ツアー」。アトレ取手(取手駅ビル)4階にある「たいけん美じゅつ場VIVA」でアート作品を鑑賞して、自分の目で見て感じたことや気づき、発見などを言葉にして共有し合う活動だ。専門の知識をもったアートコミュニケータ「トリばァ」がファシリテーターとなり、子ども同士で対話を重ね、考えや感じたことを自由に表現する。観察力、想像力、説明力、コミュニケーション能力、理解力、論理力、思考の訓練につながり、総合的な生きる力が育つといわれている鑑賞法だ。一人ひとりものの見方や考え方がちがうことを実感し、多様性の理解にもつながり、学級全体の親和性が高まることも期待される。

アートにふれる朝鑑賞自由に発想し表現する

 取手西小では、月2回、朝の授業前の15分間、アート作品を鑑賞して考えたことや感じたことを伝え合う「朝鑑賞」を全校で行っている。作品からイメージして絵を描(か)いたり、お話を創作したり、表現方法はさまざまだが、子どもたちは「自分の思ったことを発表できるのがうれしい」と楽しく取り組んでいる。だれもが自由に発想して、その表現を受け止めてもらえるという経験が自己肯定(こうてい)感や自己有用感を高め、親和的学級づくりにつながり、先生からは「ほかの人の意見を聞くふん囲気の中で、子どもたちが発言しやすくなっている」などの声が聞かれる。今後は、この取り組みを市内の全小学校で実施(じっし)していく予定だ。

アートの活用を柱に取手型STEAM教育

 「変化の激しい未来に対応できる想像力、課題解決力、論理的思考力を育成するためには、子どもたちが何事も主体的に自分事として考え、表現していくことが大切」と話す教育長。アートを活用した教育を柱とした「取手型STEAM教育」で、子どもたちがさまざまな分野を総合的に学び、学んだ知識や技能を課題解決に生かす力や異なる分野を結び付けて新しい価値観を生み出す力を養っていきたいと考えている。