つくばみらい市/伊奈東小学校
人とのつながりを大切に 地域に開かれた学校を目指す
地域の人材を活用した教育学習に力を入れているつくばみらい市立伊奈東小学校では、地域のプロから専門的な知識や技術を学ぶ農業体験を実施(じっし)。地域の人たちとのかかわりを大切にし、自己肯定感(じここうていかん)を育んでもらいたいと願っている。さらに、学校周辺の豊かな環境(かんきょう)を生かした学習を食育にもつなげている。
伝統行事復活 タケノコほり
2020年に東(あずま)小と板橋小が統合し新たなスタートを切った伊奈東小。東小の伝統行事だったタケノコほりが3年ぶりに復活し、4月に統合後初めて行われた。
2年生51人は地域住民でつくる東地区児童育成友の会のメンバーが管理する竹林でタケノコほりを楽しんだ。子どもたちは手入れが行き届いた竹林に入り、メンバーの助けを借りながら大小さまざまなタケノコを採った。山盛りになった一輪車約5台分のタケノコを収穫(しゅうかく)。各家庭に持ち帰り、たけのこご飯や味噌汁(みそしる)にして旬(しゅん)の食材を味わった。
同会はタケノコほりの準備から片付けまで長年にわたって支えんしている。今年は「ようこそ たけのこほりへ!」と書いた横断幕を用意して子どもたちを大歓迎(かんげい)。小さい方がやわらかくておいしいと助言していたものの、大きいタケノコをほり起こそうとする子どもたちをほほ笑ましく見守っていた。
米作りの苦労を実感 最新の農業も学ぶ
5年生44人は土を入れたバケツに苗(なえ)を植える「バケツ稲(いね)づくり」にチャレンジした。5月に自分たちで芽出しした種もみを植え、順調に成長し9月に刈(か)り取ることができた。天日干しした稲のくきを割りばしではさみながら引っ張って脱穀(だっこく)し、すりばちを使ってもみすりをして玄米(げんまい)にした。
6月には農業を営む保護者をゲストティーチャーにむかえ、コンピューターを利用した田植え機やコンバイン、ドローンといった最先たんの機器を使った稲作について理解を深めた。
子どもたちは「米作りは大変で手間がかかる」「また米作りをしてみたい」とふり返り、それぞれ片手に乗るほどの収穫量だったが米作りの難しさと面白さを実感したようだった。
大収穫のニンジンほり 学びを教室の外へ
3年生62人は7月に学校近くの畑でニンジンほりを体験。厳しい日差しの中、ぬれたタオルを首に巻き、10本以上収穫した子どももいた。この体験も保護者の協力で実現。ニンジンの育て方や1年間の収穫量などクイズを交えながら取り組み、充実(じゅうじつ)した時間を過ごした。家で調理したニンジンを食べた子どもは「畑の味がした」と採れたての味わいにおどろいていた。
「地域のみなさんとともにある学校」を目指す校長には子どもたちの学びを教室の外にも広げたいとの思いがある。人とのつながりを大事にすることでテストの点数では計り知れない「人としての資質」を高めたいと考えている。教務主任の先生は「子どもたちが主人公となって学んだことをお家の方や地域の方に発信するカリキュラムを作りたい」と今後の展望を語った。