龍ケ崎市/馴柴小学校

地域と子どもたちがともに学び 災害に立ち向かう地域防災訓練

龍ケ崎市立馴柴小学校では毎年、地域防災訓練を行っている。昨年度の訓練では全児童のほか、市長をはじめ市役所防災安全課の人たち、保護者や地域の自主防災会の人など約50人が参加。龍ケ崎消防署西部出張所から消防士やレスキュー隊員を講師にまねき、体育館や駐車(ちゅうしゃ)場でさまざまな訓練や体験をした。子どもたちは楽しみながら、たくさんの知識を得ることができた。 

手近な材料を使いたんかを作る訓練も

 5・6年生はさまざまな訓練を通して、実際の災害のときに現場や避難(ひなん)所でどういう行動をとればいいのかを学んだ。けがをして動けない人がいるときは、毛布と物干しざおで簡単なたんかを作ることができ、そうした材料がなければ、おんぶしたり数人でだきかかえたりして運ぶ。ほかにも、地震(じしん)でたおれてきたものにはさまれた人を救出する訓練や、ダンボールベッドを組み立てる訓練、防災テントの設営訓練などもした。

 1〜4年生は「けむり体験」で、けむりに巻かれたテントの中をくぐりぬける訓練をした。まわりが見えなくなっても、けむりは上にたまって下は少ないので、口をふさいで姿勢を低くして進めばいいことが実感できた。

 子どもたちからは「手近な材料でたんかが作れて、こんな方法があるのかとびっくりした」「人を運ぶときは重いし、落としちゃいけないので大変。難しさが分かった」「何かあったときは自分たちも協力したい」などの反応があった。

訓練の補助員として避難所の仕事を学ぶ

 6年生の一部は補助員として、それぞれの訓練の運営も手伝った。参加者の受付や検温・消毒を受け持つほか、防災無線ではマイクに向かって話し、被害(ひがい)の様子を地区から報告してもらったり、避難の呼びかけをする体験もした。こうした活動は、実際の災害で避難所が設置されたとき、どういう仕事が必要になるのかを知り、それを体験する良い機会にもなった。

 「地域の人たちといっしょに救助活動の訓練をすることは、地域で生きていく子どもたちにとって非常に有意義」と教頭。「実際に災害が発生したとき、子どもたちが地域の人を助けられるのかというと、まずは自分の身を守るのが第一。だが大人になってそういう場面に出会ったとき、訓練で身に付けた知識が役に立ってくれると思う。『こんなことやらなかったっけ?』と思い出すだけでも、大きな差になるのでは」と期待する。さらに、「今の子どもたちは東日本大震災よりも後に生まれており、災害について実感を持つことは難しい。だが地域には当時のことをよく覚えている人も大勢いる。そうした記憶(きおく)を風化させず、伝えていくことが必要だと強く感じる」と教頭は話している。