つくばみらい市/つくばみらい市教育委員会
ヤングケアラーの理解を深め支援のあり方について考える
つくばみらい市教育委員会では、すべての人が生まれながらにして持っている「自分らしく幸福に生きる権利」である人権についての理解や認識を深めるための人権教育に力を入れている。8月8日(木)には、高砂熱学イノベーションセンター(同市富士見ケ丘)にて、一般社団法人ヤングケアラー協会代表理事の宮崎氏による講演会が開かれた。
子どもの様子に目を配り気づくことが第一歩
ヤングケアラーとは、「家族の介護(かいご)や日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」のことで、責任や負担の重さによって学業や友人関係などに影響(えいきょう)が出てしまうことがあるため、国・地方公共団体等が各種支援(しえん)に努めるべき対象として法律で定められている。しかし、家庭内というプライベートな場においての出来事や当事者の心情などは周囲に理解されづらく、正しい支援の方法がはっきりとわからないというのが実情だ。
開会に際して教育長が「学校ではなかなかふみこんでいけない部分。だからこそ、当事者の声を聞くことで理解を深め、子どもたちの人権を守るために役立てたい」と意義を述べた通り、講演会には市内の保幼小中の教職員らが多く参加し、ヤングケアラーの当事者である宮崎氏の話に熱心に耳をかたむけた。
気にかけ続けることで心の支えとなる存在に
講演のテーマは「ヤングケアラー当事者の人生から考える支援のあり方」。宮崎氏はまず、ヤングケアラーの定義や問題の背景などについてくわしく解説し、「子どものころから日常的に責任や負担を負うことで周りに相談したりたよったりすることが苦手になり、大人になっても引きずってしまうケースも多いため早めのケアが重要」と話した。 続いて、難病でねたきりになった母親のケアを15才のころから担ってきた自身の経験や、現在の支援活動を通じて聞いた当事者の事例が紹介(しょうかい)され、その内容は参加者の心に深くひびいた。「往診(おうしん)の医師が『いつでも電話して』とわたしてくれた電話番号のメモがお守りのように心の支えになった」というエピソードや、「気にかけてくれる大人の存在が心強い」という声も具体的な指針となるもので、「ヤングケアラーという言葉は知っていたが実状は知らなかったため、講演を聞いて理解が深まった」「どのようにかかわれば本人の支えになるのか不安だったが、気にかけ続けることが心の支えになると知ることができてよかった」などの感想が挙がった。