つくばみらい市/福岡小学校

小学生新聞

良好な人間関係を築くことで児童にとって居心地のよい学校に

つくばみらい市立福岡小学校では、小規模校の特色を生かして担任以外の先生とふれ合ったり、異なる学年の児童と授業を受けたりすることで良好な人間関係を築いている。児童と先生、児童同士がたがいの顔と名前を覚えられ、子どもたちにとって居心地の良い雰囲気となっている。

伝統文化の伝承再開した地域交流

 福岡地区には400年以上前から伝わる盆踊り(ぼんおどり)がある。そこで演奏される福岡太鼓(ふくおかだいこ)を3・4年生が受けついでいる。毎年、住民でつくる「福岡盆踊り保存会」のメンバーを講師にむかえ、大太鼓、しめ太鼓、かね、笛のリズムを言葉で伝え聞いて習得している。4年生は経験をもとに、ばちのにぎり方やたたき方のコツを3年生に教えた。本番直前まで音がそろわなかったが、児童たちは「音をみんなで聞き合おう」とはげまし合い練習を重ねた。2022年11月の秋祭りで披露(ひろう)すると、「これまでで一番の出来映えだった」と胸を張った。

 さらに、4年生から6年生によるクラブ活動の一つ、イラストクラブのメンバーは2月8日、以前から交流のあった介護施設(かいごしせつ)を訪問し、自分たちでデザインした弁当の包み紙をプレゼントした。明るい気持ちになってほしいと、弁当の中身や楽しく食べている様子をえがき、やわらかい色合いで仕上げた。コロナ禍(か)で交流が減っていたこともあり、お年寄りから歓迎(かんげい)された。なみだを流して喜ぶ人もおり、児童はおどろきとうれしさが入り交じった様子で「また絵をかきたい」と意気込んでいた。

児童の発想を生かす委員会活動と教育活動

 4年生から6年生が学校運営の一旦を担う委員会活動。このうち放送委員会は、卒業目前の6年生20人を問題にした「だれでしょうクイズ」を考え、給食時の校内放送で流した。好きな食べ物や得意なスポーツなどをヒントに名前を3択で出題。ほかの学年とも結びつきが強い児童たちは6年生を思いうかべながらクイズを楽しんだ。

 また、SDGs(エスディージーズ)教育に力を入れている保健・安全委員会は、ウミガメの生体を研究している地域住民を招き、海の現状について理解を深めた。魚の体内から出てきたプラスチックの破片や、つり糸を目の当たりにし、熱心にメモを取りながら耳をかたむけていた。

 学習面でも児童同士が学び合う時間を大切にしている。算数の授業では、自分で課題を見つけ、友達に説明したり、ふり返ったりして意欲的に学んでいる。中でも、自力で問題を解いた児童が、分からない児童に教えることで、自身の学習の定着度が高まるとされている。2022年10月と2月に実施(じっし)した児童を対象としたアンケートの結果、「算数の問題から課題を見つけることができますか」は60㌫から71㌫に、「算数の学習内容を友達に説明できますか」は53㌫から69㌫に改善した。

学年のわくをこえ先生も児童もふれ合う

 担任以外の先生や学年のわくをこえた児童と接することが多い福岡小。休み時間になると児童だけでなく、先生も毎日のように校庭に出ていっしょに遊ぶ。児童とともに過ごすことで、ほめる場面を見つける機会が増え、多くの児童の良いところを担任の先生に伝えることができる。福岡小には長い間、不登校児童がいないというのも、児童と先生の距離(きょり)が近いからかもしれない。