龍ケ崎市/城ノ内小学校

80字作文「R80」で学ぶ自分の考えを伝える方法

 龍ケ崎市立城ノ内小学校では「自分の考えを伝えることのできる児童の育成」を目指し、その手立ての一つとして、書く力の向上に役立つ「R80(アールエイティー)」を昨年度から取り入れている。「R80は子どもの表現力や論理力、また深い思考力などが養え、アクティブラーニングに新たな可能性を広げる」と校長は期待している。

短い二つの文章を論理的につなぐ

R80のRとはリフレクション(ふり返り)とリストラクチャー(再構築)を意味し、80は文字数を表している。授業のふり返りの場面で、学んだ内容をもう一度整理し、80字以内の文章にまとめようという取り組みだ。2016年に茨城県立並木中等教育学校の校長だった中島さんが考え出した。
 基本ルールは40字ほどの文章を二つ書き、その二文を「したがって」「つまり」「なぜなら」といった接続詞で結ぶ。限られた文字数の中で自分の考えを簡潔かつ的確に伝える力がつき、また接続詞でつなぐことで原因−結果、結論−理由というように二文の関係が明らかになり、論理的な文章力が身につく。

さまざまな教科で発達段階ごとに活用

 R80は、教科を問わずさまざまな場面で活用できる。例えば算数で文章問題の解き方を考えるときや、社会科である歴史的なできごとがもたらした影響(えいきょう)を説明するとき、理科で実験の前に予想を立てたり、実験の後で考えをまとめたりするときなどにも役立つ。授業の最後で使えばその日の内容への理解が深まり、学びが確実に定着する。
 同小では昨年度、道徳の授業でグループでの話し合いの後にR80を使って自分の考えをまとめた。それを今年度は全教科へ広げ、低学年でも発達段階に応じて取り入れている。例えば5年生では田植え体験の後、その体験に基づいて自分の考えを持つといった場面でも活用している。

学力向上だけでなく人づくりの効果も

 R80では文章の書き方が身に付き、書くことに抵抗(ていこう)感や苦手意識を感じなくなる。例えば、それまではノートをとることをめんどうがっていた児童が、進んで手を動かすようになった例もある。
 書くことは自分の考えや気持ちを整理し、目に見える形にすることでもある。このためR80は、人づくりにも効果がある。自分の意見を上手に周りの人に伝えることで、トラブルの解決や人間関係の改善に役立ったりもする。
 「中には『言ってもどうせ分かってもらえないから』とだまりこんでしまう子もいるが、まずは表に出さないと相手には伝わらない。自分の考えを言葉にして表現し、相手に伝えることの大切さや、伝わるうれしさを全ての児童に感じてほしい」と校長は話している。