かすみがうら博士 解説

【問1】㋑  2番目

霞ヶ浦の面積は約220㎢で全国2位。1位は滋賀県の琵琶湖で約670㎢、3位は北海道のサロマ湖の約150㎢。霞ヶ浦はもともと海の一部で、その入り江の水面が下がってできた海跡湖である。また、海水と淡水が混じる汽水湖でもあり、汽水に生息するヤマトシジミなどは人々の大事な食糧(しょくりょう)だった。現在も残る貝塚からは、大量のヤマトシジミの貝殻(かいがら)と、海の生き物であるクロダイやスズキ、さらにウナギなどの骨も発見されている。
1963(昭和38)年、神栖市に、利根川と霞ヶ浦の合流を阻(はば)む常陸川水門(逆水門)ができてからは、海水が流れ込まない淡水湖となり、湖にすむ生物の種類も変わった。

【問2】㋐ 4m

霞ヶ浦の深さは平均すると約4m、深い所で7mほどの広くて浅い湖で、東京ドーム約645杯(はい)分(8.5億㎥)の水を溜(た)めることができる。水深が浅いと、太陽の光が水中にまんべんなく届きやすく、光合成をする植物プランクトンが発生しやすい。すると、植物プランクトンを食べる動物プランクトンが増え、動物プランクトンを食べる魚介(ぎょかい)類が増える。そして、その魚介類を人間が食べる、という循環(じゅんかん)が成り立つ。これを食物連鎖(しょくもつれんさ)という。
一方、浅い湖は、魚やプランクトンが湖の中で大量に死んで腐(くさ)ってしまうことで、水を汚(よご)す原因になるもの(有機物)に変化してしまうため汚れやすい。その水をきれいにするには、私たちが霞ヶ浦で獲(と)れた魚をどんどん食べることも一つの方法だ。食物連鎖を考えれば、魚を獲ることで、魚に食べられた動物プランクトンも、動物プランクトンに食べられた植物プランクトンも同時に湖の外に出る。つまり、水を汚す原因となるものが、魚と一緒(いっしょ)に霞ヶ浦から除かれることになる。しかし、その魚を食べる人たちがいないと、その魚を獲って生活をする漁師たちも減ってしまい、私たちが買える機会も減る。お店などに霞ヶ浦産の魚や佃煮(つくだに)などの加工品を見つけた時は、ぜひ買って食べてほしい。 ちなみに、漁師が減ったのにはこんな理由もある。霞ヶ浦と海面との差は16cmしかないため、利根川や海とつながっていた昔は逆流による洪水(こうずい)が多かった。また、塩分を含む海水が霞ヶ浦に流れ込(こ)むことで、沿岸で作物を育てている農家への塩害の影響も大きかった。そのため1963(昭和38)年に水門(常陸川水門・逆水門)ができたわけだが、それにともなう湖岸整備でコンクリ護岸が増え、水生植物が減ったり、プランクトンが大量発生したりした。そのため、だんだんと水質が悪くなり、獲れる魚の種類も、量も、それを獲って生活をする漁師たちも減ってきてしまった。漁業と農業、それぞれにとっての水門に対する考え方には違(ちが)いがあることは覚えておこう。人工的なコンクリ護岸が、なぜ水質の悪化に影響するのかなども、併(あわ)せて考えてみよう。

【問3】㋒  56本

現在、西浦に29本、北浦に23本、常陸川に4本、合計56本の河川が霞ヶ浦に流れこんでいる。これだけ多くの河川から霞ヶ浦に流れ込んでいるのに対して、霞ヶ浦から出ていくのは常陸利根川の1本のみで、神栖市で利根川に合流する。霞ヶ浦に流れる河川の水が汚れていれば、当然、湖も汚れる。雨がたくさん降った後の霞ヶ浦を見てみると、上流からの土砂が混じった茶色い水になって、時にはゴミが混じったりしているのもわかる。ふだんから、私たちが身近な川の水を汚さないようにすることが、きれいな霞ヶ浦につながっていく。そのためには、家庭の台所、洗濯(せんたく)、風呂(ふろ)場などからの排水(はいすい)に、油や洗剤(せんざい)をなるべく流さないということも大事だ。油で汚れたフライパンやお皿は紙や古布でふき取ってから洗うなど、一人ひとりのちょっとした行動が、川、湖、海をきれいにしていくということを自覚し、日々の生活に活かしたい。霞ヶ浦の水は、私たちの飲み水にもなるということを忘れずに生活しよう。