かすみがうら博士 答えと解説

【問1】㋒ 50年前
およそ50年ほど前まで、霞ヶ浦には10ヵ所以上の遊泳場があったが、水質の悪化により、1974(昭和49)年にすべて遊泳禁止となった。もともと霞ヶ浦の沿岸には砂浜が広がり、水は透明度(とうめいど)も高く、人々が泳げるほどきれいだった。だが、私たちの流す生活排水(はいすい)、水害や塩害を防ぐための護岸工事や水門の設置などで、だんだん水質は悪化していった。現在は人工的な砂浜が造成されている所もあり、旧麻生町の天王崎にある砂浜は泳げるほどの水質を保っている。砂浜には水の浄化(じょうか)作用があることがよくわかる。(一社)霞ヶ浦市民協会では、夏に子どもたちと湖水浴を楽しむイベントを開さいしている。
【問2】㋑ 浄水(じょうすい)場
浄水場は、くみ上げた水をろ過したり、薬品や生物の働きによって水質を良くする大事な施設(しせつ)である。霞ヶ浦の水も浄水場を通ることで、私たちが安心して飲める水道水になる。自分の家の水道水は、どこの浄水場を通って流れてくるのか調べてみよう。
【問3】㋑ 9月1日
霞ヶ浦のよごれがひどくなった1982(昭和57)年9月1日、茨城県は水をよごさないための条例を出し、その日を「霞ヶ浦の日」と定めた。霞ヶ浦の水質が悪くなった原因のひとつには、家庭から出る生活排水(はいすい)のよごれがあげられる。油ものや生ごみをそのままシンクに流したり、台所やふろ場、洗たく場で洗剤(せんざい)を多く使ったりすると、浄水(じょうすい)場で処理しきれないことがある。また、台所やふろ場、洗たく機から出る水と、トイレから出る便や尿(にょう)は、通常は下水道を通り処理施設(しょりしせつ)に流れるが、下水道を敷設(ふせつ)・接続していない家もある。その場合は、家の敷地(しきち)内にトイレからの排水だけを処理する浄化そう(単独処理浄化そう)を設置し、ほかの排水は近隣の河川や用水路に直接流すことになる。河川や用水路の水は、そのまま霞ヶ浦に入ってしまうため、湖の水質は悪化してしまう。
霞ヶ浦の水をきれいにするには、まずは家庭から出る水に気をつけなければならない。ちなみに東京都は昔、水道水がまずくて飲めないほど水質が悪化していたが、都内の全ての家が下水道に接続した結果、ペットボトルの水になって売られるほどの、きれいでおいしい水になった。多摩川にもアユがもどってくるなど生態系も回復し、目に見えて水質が改善した。
茨城県も、下水道につないでいない家はできるだけ早く接続して、単独浄化そうの家は合併(がっぺい)処理浄化そう(トイレとその他の家庭排水を一緒に処理する浄化そう)に転かんするなど、改善が望まれる。ただ、接続にはお金がかかるため、茨城県では森林湖沼環境(しんりんこしょうかんきょう)税活用の一環(いっかん)として接続への補助金制度が条件付きで利用できる。ぜひ活用してほしい。家の外に出た水は自分には関係ない、と思わず、霞ヶ浦に流れる水がやがて自分たちの水道水として返ってくることまで考えよう。