取手市/取手小学校
自分の身は自分で守る「命の学習」
緊急時の対処法を体験から学ぶ
取手市立取手小学校では、東日本大震災(しんさい)以降、毎年、地域と連携(れんけい)した防災訓練を行っている。昨年度も11月に実施(じっし)し、学年に応じて災害時に役立つ訓練を行った。また7月には専門家を招き、水難事故防止のための「海の安全教室」も実施。いざというときに自分の身は自分で守れるよう、子どもたちは実際に体験しながら学ぶことができた。
6年かけ体験から学ぶ災害時に役立つ知識
地域連携防災訓練には全校児童が参加し、1年生は模擬(もぎ)電話で電話をかける通報訓練、2年生は水消火器を使った消火訓練、3年生は火災を想定したけむり体験、4年生はけがの手当ての方法などを学ぶ応急処置講習、5年生はAEDを使った心肺蘇生(そせい)、6年生は「逃げキッド」によるマイ・タイムラインの作成を行った。講師として地元の消防署や消防団、市安全対策課などが協力してくれ、それぞれ子どもたちに指導をしてくれた。子どもたちは講師の話に真剣(しんけん)に耳をかたむけ、体験に取り組んだ。
東日本大震災をきっかけに始まった地域連携防災訓練では、6年かけて学んでもらおうと、学年に応じた体験を行っている。例年は地域の人たちも参加していたが、コロナ禍(か)になっても何より大切な「命を守る学習」が途切れてしまうことがないよう、子どもたちだけで感染症(かんせんしょう)対策に十分に配慮しながら行ってきた。
「震災から10年以上経ち、今の小学生にとっては過去の出来事になってしまった。だからこそ、地震などの災害に日ごろから備えておくことの大切さを伝え続けたい」と教頭。毎年行うことで新しい防災の知識も得られるため、今後も継続していきたいと話した。
水難事故から身を守る専門家が教える対処法
また7月には海や川での事故を防ぐため、5・6年生を対象に、県海上保安庁や県水難救済会の人たちを招いて「海の安全教室」を行った。子どもたちは学年ごとに分かれ、水着の上に長そで、長ズボン、運動ぐつを着用して集合。体育館で、水のこわさを語る水難救助の専門家の話に真剣に聞き入り、救助を待つ姿勢などを教えてもらった後、プールで実際に姿勢をとって浮いてみたりした。
また救助を待つだけでなく、ペットボトルとロープを使って救助するコツも学んだ。さらにプールの中で離岸(りがん)流を発生させ、離岸流に逆らって泳ぐことの困難さを体験し、沖に流されたときにどのように対処(たいしょ)すればよいのかも教わり、いざというときに役立つ「生きた知識」を学ぶことができた。
地域と連携し学校が地域防災の要に
防災訓練や海の安全教室を通して「自分の身は自分で守れるようになってほしい」と教頭。知識として学ぶだけでなく体験することで、緊急(きんきゅう)時に適切に行動できるようになることを期待している。
同小の学区には水害時の浸水(しんすい)地域もふくまれ、高台にある同小は災害時の避難所にもなる。地域防災の要として今後も子どもたちの防災教育に取り組み、地域とともに、地域を守る子どもたちを育てていきたい考えだ。