つくば市/高山学園
ICTでだれ一人取り残さない
「個別最適な学び」の実現へ
つくば市立高山学園では、全員が分かる楽しさや学びを深めることの喜びを味わいながら、友達といっしょに学び合い、おたがいに高め合える学習環境(かんきょう)を目指し、先進的なICT(情報通信技術)の活用を進めている。
AIが一人ひとりに合わせて個別対応
島名小では校内研修テーマ「教えから学びへ〜個別最適な学びと協働的な学びの往還(おうかん)〜」のもと、AI(人工知能)教材「すららドリル」を導入し、授業中の小テストや毎日の宿題、夏休みの宿題などに活用している。
すららドリルは、問題を解き終えたらAIがその場で採点、どこでつまずいたのかを分析(ぶんせき)し、習熟度に合った次の問題を配信してくれる。去年の内容にさかのぼってやり直したり、先取り学習をしたりなど、自分のペースで進められ、先生も児童の学習ログを見ながら、一人ひとりの進み具合に応じた指導ができる。
毎日の予習復習や、苦手分野の克服(こくふく)、あるいは長期的な学習計画など、児童自身が内容を管理できることも特色だ。「自分に合った学習活動を自ら設計し挑戦(ちょうせん)する姿に、個別最適な学びの最先端(さいせんたん)を感じる。今後も、子どもの可能性を広げるツールとしてICTを積極的に取り入れていきたい」と校長。
オンラインを活用し家から授業に参加
また島名小では、新型コロナウイルスの影響(えいきょう)などで自宅待機中の子も、ICTを使ってリアルタイムで授業に参加できている。
高学年では、教室にいる子どもたちが機器の操作を手伝ってくれて、グループでの話し合いや意見発表もスムーズ。例えば理科の実験では、タブレット端末(たんまつ)のカメラを通して「もう少しよく見せて」「これでどう?」などとやりとりしながら、その場にいるのと同じように観察ができる。
「コロナ感染拡大による休校期間中に始めたオンライン授業の経験が生きた。今後、コロナが終息しても続けていきたい」と教務主任の先生。このほか学校と保護者との間でも、家庭訪問の代わりにオンライン面談、授業参観の代わりにクラスの様子を動画で配信するなど、ICTはさまざまに役立っている。
別れが近付いてきた児童の心のケアも
高山学園では来年度、島名小から分離(ぶんり)独立の形で、新しい小学校が香取台地区に開校する。そのための準備を進める一方で、子どもたちがさびしい思いをせず、きずなや友情を保ちながら、前を向いて学びに取り組めることを、島名小では今年度のテーマとしている。
5月には記念の全校写真やクラス写真を撮影(さつえい)した。11月の運動会では、児童全員が力を合わせる機会として、去年はできなかった大玉送りを復活させる。来年2月には「別々の学校になっても、いつまでも友達だよ」という思いをこめて、記念行事を開く予定だ。
「来年度は児童数や指導体制も大きく変わる。こちらもまた新設校のつもりで、これまでの伝統は生かしつつ新しい風を入れ、気持ちを一新して学びを加速させていきたい」と、校長は先を見すえる。