土浦市/真鍋小学校
地域のきずなを結び、広げる まちのシンボル「真鍋の桜」
土浦市立真鍋小学校の名前を聞くと、多くの人が真っ先に思いうかべるのは「真鍋の桜」だろう。校庭の真ん中に堂々とそびえるソメイヨシノの大木は、真鍋小の児童や職員はもちろん地域の人々にとっても特別な存在であり、心のより所だ。まちのシンボルとして長年大切に守り続けられてきた真鍋の桜は、今年で116回目の春をむかえた。
一世紀をこえる歴史 真鍋小は桜とともに
桜が植えられたのは1907年(明治40年)のこと。西真鍋から現在の場所へ学校が移設され、新校舎が建てられた記念に卒業生たちが贈(おく)ったものだ。当時は校庭のすみに植えられていたが、やがて周りの土地が広げられ、現在のように校庭の真ん中に位置するようになった。
「はじめて真鍋の桜を見たとき、グラウンドの中央に大きな桜がある光景におどろくとともに、なんと立派な桜だろうと感動した。子どもたちにとっては当たり前の光景かもしれないが、身近だからこそ大切な存在として心に残るのだろう」と、教頭は話す。
委員会活動のひとつとして、桜の世話や観察記録の発表などを行う「サクラ委員会」があるのも真鍋小ならでは。また、校舎内のふきぬけロビーは「サクラホール」と名付けられ、桜の写真や絵画などが展示されているほか、サクラ委員会によるかべ新聞も掲示(けいじ)されている。
桜のまわりに人が集い笑顔がうまれる
毎年4月に新入生をむかえる会として開かれる「お花見集会」の準備や進行を務めるのも、サクラ委員会の児童たちだ。6年生と新1年生がリングバトンで手をつないで桜のまわりを歩いて入場し、いっしょに歌を歌ったり、桜にまつわるクイズを出したりして新入生を歓迎(かんげい)する。コロナ禍(か)以前はおんぶで入場していたところを工夫するなどして、2022年2年ぶりに再開された。
今年の春には「真鍋の桜を楽しむ集い」も3年ぶりに開催(かいさい)され、地域の人々をはじめ、市外や県外からもたくさんの人が桜を楽しんだ。真鍋の桜は全国的にも有名で、毎年桜の季節になると真鍋小には開花の様子についての問い合わせが多く寄せられるという。
地域と深く関わるさまざまな交流行事
「これほど多くの方々が真鍋の桜を気にかけてくれるのはありがたいこと。桜があることで、地域と学校のかかわりがより深まっていると感じる」と、教頭は目を細める。地域の有志による「真鍋の桜保存会」の活動をはじめ、登下校の見守りや、防災の日に行われるシェイクアウト訓練、むかし遊びや農業体験などの交流行事がさかんに行われていることはその証だ。また、地域の大人たちだけでなく、土浦第二中や土浦第一高および附属中との合同あいさつ運動によって子どもたち同士の輪も結ばれる。
人と人とのかかわりがうすれつつある現代社会だが、真鍋の桜がつなぐ地域のきずなは、子どもたちの成長をあたたかく見守り、支え続けている。