つくばみらい市/豊小学校

地域との交流からうまれる多様な経験が豊かな学びに

つくばみらい市立豊小学校では、昨年度より県立伊奈特別支援(しえん)学校との交流を深めている。同校は小学部、中学部、高等部から成り、豊小とは徒歩10分ほどで行き来できる近さ。児童生徒間の交流や教職員による相互(そうご)研修などを通して多様性や障がいへの理解を深めるとともに、地域とのつながりも育まれている。

支援学校とのかかわりを特別ではなく日常に
 12日、豊小の校舎の窓を清掃(せいそう)する特別支援学校高等部の生徒たちの姿があった。生徒らは、作業学習としてビルメンテナンスの学習で学んだ清掃技術を生かし、プロ顔負けの手際の良さで窓を一枚一枚みがきあげていく。清掃活動は年間10回ほど予定され、窓のほか手洗い場やろう下などの清掃も行う。
 「昨年度は昼休み中に作業の様子を見学させてもらったり、感謝の言葉やお礼の手紙をおくったりしたが、今年度は清掃の仕方を教わる機会を設けてより直接的な交流の時間も設けたい」と、教務主任。「『床(ゆか)がすべりやすいので気を付けて』、といった注意の呼びかけもとてもていねいで、そういった姿からもいつもの学校生活とはちがう視点からの学びや関心を得ることができるはず」と期待を寄せる。また、11月には5年生全員による学校訪問も計画されており、特別支援学校小学部の児童たちと学習発表やスポーツ活動を通じて交流と理解を深める予定だ。

地域や保護者の協力でいきいきとした学びを

 同小では、特別支援学校との交流だけでなく、地域とのかかわりや体験学習の機会づくりにも積極的に取り組んでいる。昨年は、学校前の上下水道工事の様子を見学するとともに建設工事や道路工事などについての出前授業を受け、地中に設置される前の配水管に自分たちの名前を書くというユニークな取り組みも行われた。
 「児童の保護者が代表を務める建設会社が工事を担当する縁(えん)で実現した。大きな重機を使っての作業を間近で見学する貴重な経験となり、キャリア教育にもつながった」と教頭。選挙管理委員を務める保護者もいることから、同小が投票所となる選挙の際に模擬(もぎ)体験をしたり、市のコミュニティバスを利用して校外学習を行ったり、社会とのかかわりを通じて子どもたちは生きた学びを得る。  「地域や他者とのつながりを大切にすることは、これからの時代ますます重要になってくる。たくさんの体験を通して、知る、気付く、興味をもつことが学びと成長のきっかけになれば」と校長は話す。