牛久市/向台小学校
人とのかかわりを大切にして自己肯定感や思いやりの心を育む
一人残らず、安心して学び、共に認め、学び、高め合える学校づくりを目指す牛久市立向台小学校では、特に人とのかかわりを大切にすることに重点を置いている。コロナ禍(か)で制限されていた授業でのペアワークやグループワーク、異学年交流や地域の人との交流が活発にできるようになり、子どもたちが多くの人とのかかわりながら、共に成長していけるよう取り組んでいる。
ペア・グループワークで共に学ぶ授業づくり
協働的な学びや聴(き)き合う関係を大切にしている同小の授業は、ペアワークやグループワークを中心に行われる。友達同士いつでも助け合えるように、机はコの字や向かい合わせの形に並べている。授業で取り組む課題は主に、「共有の課題」と「ジャンプの課題」の二つに分けられる。共有の課題は「全員が分かる課題」で、分からない子には分かる子が教えてあげたり、聴き合ったりして全員が分かるようにする。ジャンプの課題は「全員が分からない課題」。簡単には解けない難問なので、みんなで考えを出し合い、助け合って答えを見つけていく。ときには解けずに授業が終わってしまうこともあるが、子どもたちは休み時間になっても考え続けていたり、家に持ち帰って考えてくる子もいる。
このような人とのかかわりから学びを深める授業を6年間積み重ねることで、特に6年生では自分たちの考えをつなぎ、自分たちでつくる授業を目指している。「『分からない』から授業が始まり、それに教師もふくめ全員で寄りそい、考え、子どもたちの言葉でつないでいくことを意識している」と先生。さらに、これから生きていく社会の中で直面する課題の多くは正解がないからこそ、より良くするためにどうするか、多様な視点から考え続けるという経験を大切にしてほしいと考えている。
異学年との交流で小さい子への配慮を
コロナ禍では制限されていた異学年交流も、今年度は積極的に行っている。高学年が低学年の給食準備や清掃(せいそう)を手伝ってあげたり、体力テストの計測や記録を行ってあげたりして、サポートした。また来年度入学する近隣(きんりん)の幼稚園生が給食体験に来た際には、5年生が配膳(はいぜん)し、お世話をしてあげた。運動会の応えん団では、低学年に熱心に指導する高学年の姿も見られた。「小さい子とかかわることで、自分の言動をふり返る機会になる」と異学年交流の意義を語る教頭。お兄さん、お姉さんとして活動することで、思いやりの心が育まれ、下級生にもその思いが引き継がれていくという。
地域の人たちの協力で職業体験も予定
コミュニティスクールを導入している同小では、地域の人たちが積極的に学校にかかわってくれる。学校運営協議会のメンバーを中心に、登下校の見守りをはじめ、授業やイベントのサポートをしてくれたり、草かりや花だんの手入れなどをしてくれる。
また、今年度はキャリア教育の一環(いっかん)として6年生の職業体験も予定している。地域の人たちが協力してくれる事業者を募ってくれるなどして準備を進めていて、貴重な体験を子どもたちも楽しみにしている。