つくばみらい市/教育委員会

小学生新聞

子ども主体でインターネットを活用 自律的に適切に判断する力を育てる

今年度から学校改革プランに日常的なICT(情報通信技術)の活用を盛りこんだつくばみらい市教育委員会は8月4日(金)、きらくやまふれあいの丘(同市神生)で、若手教員の研修会をかねた教育講演会を開いた。子どもが主体となって積極的なインターネットの利用とルール決めをすることで、考える力、自律する力を育てるヒントを得て情報教育の向上を目指す。

禁止・管理ではなく 児童生徒に考えさせる  

情報モラル教育を専門とし、メディアでも活躍(かつやく)する鳴門教育大学大学院学校教育研究科の教授が「小中校における情報モラル教育の在り方」の演題で講演、約50人が参加した。  

教授は学力で世界一のフィンランドや日本一の秋田県などの授業風景を例に挙げて、禁止したり管理したりするのではなく、ネットの仕組みやメリット、デメリットを理解させた上で、タブレット端末(たんまつ)やSNSなどの利用方法を子どもたちに決めさせることにより適切に判断する力が育つと強調した。「先生や保護者が見ていなくても悪いことはしない子に育つ」と児童生徒主体による情報モラル教育の重要性を説いた。

その事例として、兵庫県の中学校では、生徒が主体となってネット(SNS)利用の11か条を制定したことを説明。「ネット内で知り合った人と会わない」「投こうした情報は消せないということを意識する」といったルールを作成した。自分たちで決めたルールだから守ろうという意識が高まったという。

ネットいじめ 助けの求め方伝えて  

学習用端末を使って特定の児童に悪口を送ったなど深刻化しているネットいじめにふれ、いじめを受けた時には必ず助けを求めることを子どもたちに教えるよう呼びかけた。

いじめられている子どもに対して「助けを求めることは何もはずかしいことではない。保護者は家族なんだから心配とか気にしなくていいんだよと伝えてほしい。先生がいつでも相談に乗るよという姿勢を示してほしい」とうったえ、文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル/0120・0・78310(なやみいおう)」を紹介(しょうかい)。「親がねてからでも電話できるように24時間にした。子どもだけでもかけられるようにフリーダイヤルにした。最後の砦(とりで)なので、全ての子どもに伝えてほしい」と力をこめた。

デジタルとアナログ 利点と限界を指導  

個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けて、デジタルとアナログそれぞれの利点や限界を教えて子どもたちに調べ方を選ばせる学習方法を提案。紙の図鑑(ずかん)で足りない情報をネットで調べたり、直接見に行ったりするなど活動の多様化を助言した。また、生成AIの積極的な活用を提言する一方で、「生成AIにも限界がある。正しい情報かを調べる作業が必要なことを教えておかないといけない」と指てきした。

参加した女性教員は「正しい判断や正しい情報の見分け方、考える力が育てられていないと感じていた。情報モラルを伝えることで、授業のⅠCTの使い方や正しい情報の在り方を生かしていけたら知識の探求ができる」と話した。

教授による教育講演会は昨年に引き続き2回目。前回の講演会を機に市内の小中学校の授業でタブレット端末の活用が大はばに向上。教員のICT活用指導力が県内2位を達成したという。教育長は「情報モラルの意識の低い子どもたちを、どのように指導したらいいのかを身近な話題で分かりやすく話してくれた」とふり返った。